「松江市・宝塚市姉妹都市提携55周年レセプション」について思うこと

「松江市・宝塚市姉妹都市提携55周年レセプション」は、両市の市長、各市民団体代表、市議会議員、市役所幹部が宝塚ホテルに集まってパーティー形式で行われ、食事とお酒も振る舞われました。

松江市と宝塚市の友好が深まっていくこと、私は本当に嬉しいと思いました。

その一方で、私はこのレセプションについて「ちょっと発想が古いのではないかなぁ」と、少し疑問に感じました。

もちろん、この形式で行うこと、理屈は分からなくはないんですよ。

松江市からはるばる代表団がお越しいただいたわけですから、宝塚市としても、お迎えの仕方が失礼であるわけにはいきません。そのため「幹部メンバーが揃って、宝塚ホテルにて丁重におもてなしする」ということは、市の礼儀としては正しいでしょうし、また重要なことであるとも思います。

ただ、それが一般の市民からみてどう見えるのかということが、私は一番気になってしまうんですよね。市の事業は、市税を含む市のお金でやっているわけですから。

両市の公職者や幹部どうしが集まって、「式典」を行うというのは分かります。約束を締結したり、広報やPRを行ったりと、厳かな場所でなければ進展しない施策というのは、必ずあるでしょうから。でも、公職者や幹部同士が集まって「お酒もディナーもあるパーティーを楽しむ」というのを、両市の事業として行うのは本当に良い事なのでしょうか?

もちろん、パーティーがあることが決まっている以上は、私も、全力でパーティーを楽しむことに努めましたが(現在の制度として決められた公式スケジュールに議員が従わないようなことはあってはなりませんから、精一杯、松江市の皆様とお話しし、おもてなしし、楽しく過ごしていただけるよう努めましたが)、心の底に一つの引っかかりもなかったと言えば、嘘になってしまいます。

子どものころ思っていた「お偉いさん(※注釈1)」な感じ、アレに自分自身はあまり染まりたくないなぁと思ってここまで生きてきたのですが、このパーティーにこうやって参加して、もし、何の問題意識も感じずに楽しめてしまうようなことになってしまえば、きっと自分もそうなってしまっているに違いないだろうなぁというような心地がしたんですね。

もちろん、パーティーそのものを否定しているわけではないですよ。素晴らしいパーティーだったことは間違いがないです。でも、両市の交流としてこの事業を行うなら、抽選で選んだ両市の市民どうしを招待して交流してもらうとか、両市内在住の一般の方の中で大きな活躍をされた方をお招きして楽しんでもらうとか、パーティーを「両市の友好の証」としてよりいっそう盛り上げていく方法は他にもあるのではないだろうかと思うんです。

仮に市議会議員が参加することが必須であるとするならば、私は少なくとも、皆で会費を出し合って運営する形で行えていた方が、心の引っ掛かりが少なかったと思いますし、パーティーを心置きなく楽しめたと思います。

―――――――――――

あともう一つ、費用対効果の面からお話をしたいと思います。

市として事業を行う場合、必ず「費用対効果」を考えなければなりません。金銭コストや労力のコストをかけたぶんだけ、成果をあげなければならないということです。

その意味で、「姉妹都市を締結している」ことについては素晴らしい効果が見込めていると思いますし、また「式典を行うこと」についても意義はあるのかなと思います。両市の人事交流やスポーツの交流、花卉(ボタンとダリアなど)の交流なども行えていますし、今回でいうと、宝塚市と松江市でコラボレーションした「ふるさと納税の返礼品」なども誕生していますから。

でも、「お偉いさん※1」が夜に集まって飲み食いをすることによって、何か、両市の市民にとってプラスと思えるような成果があがるといえるでしょうか?私には、あまりそうは思えません。

仮に「飲みの席において、両市の幹部や議員どうしで話が盛り上がり、新しい何かが生まれる」という効果があるとしても、それは飲みの場ではない普通の席で行えばいい話ですよね。あるいは、議員どうし自腹で飲みに行ってもそれは自由なんですから。

その観点からも、私は、このレセプションを行うこと、市民の皆様に理解を得られるのかなと、少し疑問に感じてしまいました。

もちろん、私の感性のほうが間違っているのかもしれません。レセプションを軽視するなどけしからんというご意見もあるでしょう。もし、そうであれば、それは私の力不足ですので、すみませんとお伝えしたいと思います。

―――――――――――

長くなってきましたので、一言でいいますね。「市議会議員だったら、宝塚ホテルのレセプションパーティーに参加できて、飲み食いできてしまう」これって、何だか議員特権な感じがしませんでしょうか。

―――――――――――

(※注釈1)市議会議員となった今は、私は市議会議員が「お偉いさん」だとは全く思っていませんが、その一方で子どものころ、校長先生が偉い人のような感じがしていたように、市長さんや市議会議員さんや部長さんといった方々は「お偉いさん」なんだろうなぁと何となく思っていました。そしてそういう見え方をしている場合があることについては、市議会議員は充分に承知しておく必要があると思います。そのため、ここでは私の考えとしてではなく、見え方として「お偉いさん」という言葉を使わせて頂きました。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です