中山ゆうすけ 6月一般質問

テーマ1「教職員の働き方改革検討委員会の運用について」

●本市において、教職員の働き方改革に取り組んでいる機関はどこか。

▲現場の教職員・学校長・市教育委員会といったメンバーで構成される「教職員の働き方改革検討委員会」が担当している。この組織は、前身も含めれば2011年に成立した。

●会議の目的は何か。

▲「部活動の地域移行」「教職員の勤務時間適正化」の2点である。

●その目的は、会議の構成員全員に共有されているか。

▲現場教師の委員も含め、全委員で共有しているものと認識している。

●議事録を見ると、トップダウン的な会議のあり方に対して現場教員が疑問を呈している場面がある。教育委員会側も曖昧な回答をし、議論が前に進まない回も見受けられる。意思疎通は図れていないのではないか。

▲教職員代表と教育委員会職員はそれぞれの立場があり、目的の一致が難しい会であることは、座長として実感している。方向性を見いだすのに相当時間がかかっていることは事実である。それぞれの思う改革があり、それを一本化するにも苦労している。

●記録を見ると、会議は年に2-3回しか開かれていない。さらに、メンバーも年度ごとに入れ替わっている。そのような状態で、議論の前提条件を整えることに時間を取られていては、改革の実現など不可能ではないかと思われる。しっかりと目的を共有して頂きたい。

【中山の考え】
委員会の記録を見ると、委員間で意思疎通が図れていない場面が多々あります。それにも関わらず、当局は初め「目的を全委員で共有している」と答弁し、議論が紛糾している場面を指摘されてからそれを認めています。改革を妨げているのは、教育委員会のこのような姿勢にこそあると思いますので、以後も厳しく追及していきます。

テーマ2「改革の実績について」

●会議で話し合われた内容が、実際の働き方改革に生かされた事例はあるか。

▲具体例としては、「校務用パソコンと校務支援ソフトの有効活用」「スクール・サポート・スタッフの活用事例の共有」「放課後等の電話対応における自動音声システムの導入」「部活の休養日、定時退勤日やノー会議デーの取組み」「出退勤記録簿の積極的活用の推進」などがある。

●例示されたうちの一つである「自動音声システム」の導入について、会議で最初に議題に挙げられたのは2017年5月であった。しかし、実際に時間外の留守番電話対応が始まったのは2019年7月であり、改革の実現までに2年以上を要している。2017年の時点で、神戸市や伊丹市などでは既に自動音声システムが導入されていた。改革のスピードが遅いのではないか。

▲予算措置への対応や、放課後に学校に電話が通じなくなることの保護者・地域への周知などに時間を要したため、2年という時間がかかった。今後はスピード感を持って取り組みたい。

●2019年3月の議事録を見ると「阪神間の状況について聞き取りを行ったところ、猪名川町、川西市、伊丹市、西宮市等で対応済みである。そのため、本市も今後検討すべきである」といった発言がある。この記録を見る限り、本市は自発的に改革を行うのではなく、近隣他市の様子を見て、後を追う形で対応をしているように感じられる。そのことについての考えはどうか。

▲今後は出来る限り早く対応していくべきだと考えている。

【中山の考え】
「教職員の働き方改革検討委員会」が何もしていないわけではなく、改革の実績はあるものの、そのスピード感があまりに遅い上、他市の様子をみてから追随するという姿勢に終始しています。こうした後発的な姿勢のままでは、良い教育を受けたい保護者の方が集まってくる自治体にはなれません。この点に関しても、指摘を続けていきます。

テーマ3「記録簿の活用について」

●改革事例の一つである「記録簿の導入」について、この記録簿はどのように利活用されているか。

▲記録簿は、教職員の出退勤時間や時間外勤務などを記録するツールである。この導入により、教職員の勤務時間が見える化され、勤務時間の適正化が図られるものと期待している。

●2021年度の記録簿の集計結果を見ると、小学校・養護学校の先生の中に374名、中学校の先生の中に612名、月80時間以上超過勤務している方がいる。これは、俗に言う過労死ラインに相当する数値である。中学校においては回答者の13.5%が過労死ラインということを鑑みると、働き方改革が充分に進んでいるとは言い難い。記録簿の存在は改革に生かせていないのではないか。

▲記録簿による時間外勤務の実態を教職員に知らせても、勤務時間がなかなか目に見えて削減できていない実情がある。しかし、現状では記録簿の活用が一定必要であると考えている。

●そもそも、記録簿の数値は正確なのか。2021年11月の委員会議事録には「記録簿を正確に記載しているかというアンケートを校長に取った結果、その正確性は70.3%であった」という記載がある。回収した時点で正確性が70%であると認識されているデータを基にして「労働時間は減少している」と言われても、本当にそうなのかは疑わしい。教職員がパソコンで入力する記録簿ではなく、タイムカードなどによって記録される「勤怠管理システム」を導入することを、真剣に検討して頂きたい。

【中山の考え】
教育委員会は「記録簿」により教職員の勤務時間改善を図っていると言っていますが、そもそも元となるデータの信頼性が低く、その記録が実態を反映しているとはとても言えません。把握が正確ではない状況を放置してきたことには強い疑問を感じます。そもそも勤務記録を「手入力で行わせる」という時点で前近代的であるため、電子記録を導入しなければならないでしょう。

テーマ4「スクール・サポート・スタッフについて」

●教員の業務を軽減するため、本市においても「スクール・サポート・スタッフ」が導入されている。スクール・サポート・スタッフの方々は、各校において業務上どのような役割をそれぞれ担っておられるのか。

▲清掃・消毒業務、配付書類の印刷業務や授業準備補助、物品整理、電話対応など、教職員でなくてもできる業務を担っている。

●スクール・サポート・スタッフ1人1人が、それぞれどのような業務をどのような割合で担っているのか、個別に調査したデータはあるか。

▲業務については充分に確認はできていない。具体的には、学校長が必要に応じて指示することになっている。

●2019年12月の委員会議事録を見ると、スクール・サポート・スタッフの詳細な業務内容は記録されており(教材等の印刷準備が約40%、教材資料の整理・保管が約24%、電話対応や来客受付が約12%など)、この時点ではスタッフの業務内容が把握されていた。ところが現在は、その内訳が記録されなくなっている。どうしてこの記録を取らなくなってしまったのか。

▲かつては県への報告等もあり、スクール・サポート・スタッフの具体的な業務について調査していた。しかし現在は、割合も含めた正確な数値は掴んでいない。今後働き方改革を進める上では、スタッフの活用結果も精査が必要であろうかとは思うが、調査そのものが複雑であるために控えてしまっていたところもある。調査方法も含めて今後対応していきたい。

●スクール・サポート・スタッフの方の目線に立って考えてほしい。清掃や印刷、授業準備、電話対応など、非常に多岐にわたる業務を、指示に応じて適宜行うとなると、採用された時点では何をするのか分からない。業務内容を明確化した方が、雇われるスタッフも安心であるし、応募にも繋がると考えられる。ぜひ業務内容を明確化していただきたい。

【中山の考え】
スクール・サポート・スタッフは教員の負担軽減のために導入されているので、「何を依頼すれば効果を最大化できるか」については、真剣に考えなければなりません。そのためには、業務内容をファジーにしておくことは不適切であると思われます。一度は把握していた業務内容を、把握しなくなってしまったことには違和感があります。

テーマ5「教職員の働き方改革検討委員会の今後のあり方について」中山の意見

現在の教育現場は、「教員」の働き方改革の問題だけではなく、「教育を受ける子どもたち」のために今すぐ求められる改革が山積しています。「個別最適化された学びの導入」「校則の透明化」「アクティブラーニングの実現」など、例を挙げれば枚挙にいとまがありません。
そうしたことからも、学校教育について一般質問をするのであれば、本来はこれらの項目の実現を訴えることから、すなわち「豊かな学びの実現」を訴えることから始めるべきではないかとも考えました。
ただ現在の教育現場は、教職員の多忙化により「そうした教育改革を行いたくても、実行に移せない」という状況にあります。「豊かな学びの実現」を図るためには、先生方に、そのための充分な時間を持ってもらうことが必要なのです。本市の「教職員の働き方改革検討委員会」も、そうした問題意識の下で成立したといえるのでしょう。
しかし実際には、この委員会がまともに機能していないという実態があるのです。そもそも教職員の働き方改革については、「文科省通知」や「中教審答申」において、具体的な事例が示されています(具体的には「登下校指導を地域に移譲する」「掃除の業務を外部に移譲する」など)。しかし、国がはっきりと方針を示しているにもかかわらず、本市の「教職員の働き方改革検討委員会」では、これらの項目について話し合われた形跡がありません。委員会の前身組織が設立されてから12年が経過していることを考えると、このことは看過できず、委員会そのものが存在意義を問われているといえます。私の今回の一般質問は、それを明らかにすることが目的でした。
これを機に、教職員の働き方改革が進み、それによって「豊かな学びの実現」のための諸改革が、しっかりと前に進んでいくことを望んでいます。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です